イホウジン

マッドマックス 怒りのデス・ロードのイホウジンのレビュー・感想・評価

3.8
圧倒的なモブの作り込み。

主人公や主人公の動かす改造車だけ観ていると大したことないが、それ以外の登場人物の完成度の高さや改造車の作り込みがこの映画の最大の見所であろう。今作における「勢い」はとても大切な要素となっているが、独特なモブの動きやセンスの鋭い改造車たちがそれを見事に煽っている。世界観の構築に命を懸けた制作陣の熱量が伺える。
たびたび指摘されるが、今作における女性の扱いがとても良かった。アクション映画における男性優位主義への反旗でもあるし、「女性の神聖性」の解釈の違いによる衝突などの現代の複雑なジェンダー論を反映した作品でもあったように思える。

ただ勢いに身を任せる鑑賞から一歩距離を置くと、結局この映画は何をしたかったのか不明瞭になってしまう。登場人物の心情の描写も部分的には丁寧であったが、全体にバランスが不安定であった。そしてなにより、主人公の存在感が薄すぎる。彼を主人公にした理由が正直なところ分からないくらい、ストーリーの中心に主人公が不在の映画であった。また人が死にすぎて、肝心な終盤のバトルの前に満腹になってしまった感じもある。
イホウジン

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