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思い出のマーニーのhilockのレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
3.5
愛とは何かを田舎町で体験するひと夏の成長物語である。冒頭から札幌であることを認識でき、更に舞台は根室本線に乗り東に移動する。場所は、地名の似た感じから厚岸あたりではないのか?・・・という推理はおいといて、元々外国の原作ものであるため、プロットを北海道にしただけともとれますからね。
さて、全く無の状態で鑑賞しましたので、冒頭の閉鎖的な主人公に一瞬戸惑いました。おいおい病んでいるな~と。でも、なんかわからないでもない。自分は人と違うという劣等感に苛まれるのが若き十代ですからね。この重苦しい展開が続くのかと思っていましたが、ここは完全に導入部。主人公を観客に捉えてもらうプロローグなのです。少女の年齢は高校一年生(もしくは中3)となりますが、その年齢より年下に感じました。筆箱の中は全て鉛筆。さらにカッターで削るほどの道具に対する執着心ですからね。スケッチのみが彼女の友達であるという心の閉ざされた状態であり、周りにも影響されず隔絶して生きてきたのだと認識した時には、もう話に引き込まれていました。
本筋のオチは前半からヒントとなるものを散りばめているため、詳しく見ていけば前半で大筋となるところは分かってしまいます。まぁーこれはジブリですからね。致し方ない。しかし、見終わってみると、偶然の重なりすぎなど嫌に、鼻につくところもあります。まぁー血の繋がっていない親子や、友達のいない今の若い子には、何かしらの勇気も与えてくれる映画でもあると思います。人間は一人ではない。人に支えながら生きていると映画はメッセージを投げかけますし、それを知っているものにも再認識させてくれる、心が洗われる作品でした。
うーんここ数年の、欧州映画で培った鑑賞眼というか、思慮深さが邪魔に感じました。本作は素で見たほうが楽しかったかも??と見終わった後、感動の間に思いました。あと、プリシラ・アーンのCD聞いてみたいですね。
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