喜連川風連

思い出のマーニーの喜連川風連のレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
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ジブリ 新時代へ。

随所に今までのジブリへのオマージュを散りばめながら、新しい形を示した作品。

車に揺られながら新しい土地へ向かうシーンは千と千尋。

机には黒猫のジジ。

家はトトロで出てくるサツキとメイの家。

後半で出てくる女の子との構図はサツキとメイ。
などなど・・
過去の作品へのオマージュが次々に登場する。
だが、今までのように女の子が男の子との出会いを通じて、変わっていくあの定番はない。

自分の殻に閉じこもっていた絵描きの女の子がマーニーとの出会いを通じて、自分を見つけていく。
夢/うつつ、自己/他者が行きしながら少女は大人になる。

深読みすれば、絵描きの女の子が米林監督。
それを抱きしめて、引っ張ってきたのが、宮崎駿さんをはじめとした今までのジブリメンバー。

ジブリの宮崎駿さんという大きい存在に対して、どうしても卑屈になりがちだった米林監督が新たな自分(新たなジブリ)をスタートしていくというメッセージが含まれていたのではないか?

その新たな自分とは、ジブリに依存しない強い自分だと思った。

今まで、後進を育成できずに、置いてけぼりだった後輩たちに対して、「許してほしい」と謝るマーニー(宮崎駿)。女の子はそれを笑顔で許しながら、前へ前へと進む。

最初に示したオマージュを踏襲しつつも、男の子と女の子の活劇という定番や現実を描かないという定番を外した今作品。

しっかりマーニー(ジブリ)という遺伝子を抱きしめつつも、自らの歩で歩んでいくんだ!という意志を映画から感じた。

観て良かったです。
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