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(秘)色情めす市場のryotaのネタバレレビュー・内容・結末

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見れば見るほど作品の深みと凄さに圧倒される、ロマンポルノの傑作だと思います。何度目のリピートか忘れましたが、この強烈な熱気というか、ただその風景に触れたくて、今回も改めて鑑賞しました。

まずは1974年の大阪釜ヶ崎の風情が、博物館寄贈品にしてもいいくらいの貴重な映像です。ボロクソドヤ街の建物だけではなく、そこに生息していた人たちのリアルが凄すぎです。自由奔放だけど虚しくて寂しくて、それでもそこに生きている人たちがこれでもかってくらいに描かれています。特に、やはり主人公のトメ(芹明香)の存在感がすごいです。母親と同じく娼婦をして暮らしているのですが、おそらくろくに食事もしてなくて、ただただその日ぐしのために、労働として、体を売りつけていくわけですが、その体型とか髪型とか、諸々全てがトメそのもので、それだけは絶対的です。ただ、生きるために、日々をやり過ごすためにここに止まっているトメが、人間臭くてたまりません。母親のよねも同じく娼婦ですが、トメとは違って売春しつつも男を求めているような女をまだしっかり持っていて、トメとの生き方の違いもまた対極で面白いです。そして文江(宮下順子)が全く違った女性として登場するんですが、その豊満さとか、可愛らしさがまたすごくて、全て諦め切っているトメと違って、まだ女性らしさを残したまま、売春に堕ちている悲しさがたまりません。大人の玩具屋の男と一緒のところを恋人に爆弾で爆死させられる強烈なシーンが印象深いです。それにあとは、トメの弟ですね。知的障害者でもあり、母親や姉の行為をなんだかわからないけど隣でずっとみてる。セックスとは何かもよく理解できないでいるものの、本能的に女性を求めて、姉との関係がこんにゃく行為(!)からだんだんと肉体関係にまで発展していくところも、人間の本能みたいなものを曝け出しているみたいでとても印象的です。ここに出てくる男たち(客)はみんな薄汚くて、汚らわしくて、獣みたいです。まるでジャングルのような無法地帯でも、たくましくしぶとく、男に全く負けてない、むしろそんな獣を利用して生きているトメに、人間のたくましさを感じることができて、感動すら覚えます。

総じて、この釜ヶ崎(三角公園、飛田新地、あいりん地区)に蠢く人たちのリアルをグリグリと切り抜いた凄まじい作品に、毎回圧倒されてるわけです。

今から考えれば、それほどのえろもないし(宮下順子のおっぱいがやたら揉まれるのはちょっとエロい)、パートカラー(ほとんどのシーンがモノクロ)なのでかなり地味目です。ただ、そこに映し出されているほぼゲリラ撮影みたいな映像(本当に当時ここらあたりでよく撮影できたものです)は見事で、退屈なカットはほぼありません。時代背景も含め、見事な切り込みをした製作陣と、魅力的にその場所に存在した俳優さんたちには頭が下がる思いです。
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