ジェイコブ

徳川いれずみ師 責め地獄のジェイコブのレビュー・感想・評価

徳川いれずみ師 責め地獄(1969年製作の映画)
3.5
江戸で名の知れた入れ墨師の彫秀と兄弟子の彫辰は、師匠彫五郎の娘お鈴を巡って、ライバル関係にあった。彫辰は、自分よりも才能に溢れ、お鈴と結ばれようととしていた彫秀に嫉妬し、大黒屋のお竜と与力の鮫島と結託して彫秀を亡き者にしようと画策した。鮫島の陰謀により、師匠の彫五郎殺しの罪で島流しに遭ってしまう。恋敵の彫秀が消えた事で、お鈴を我が物にしようと企む彫辰だったが、それはお竜と鮫島の計画の一部に過ぎなかった……。
黒澤明と並ぶ東宝出身の巨匠とされる石井輝男監督作品。黒澤明が陽とすれば、石井輝男は紛れもなく陰の色合いが強いと分かる本作。磔にされ、ノコギリで首を斬られる女達の映像で始まり、拷問の中でも12位を争う残忍性で知られる股裂きの刑で終わるという、最早狂気を通り越して笑うしかないほどの陰鬱さ笑。台詞の8割が女の叫び声じゃないかと錯覚するくらい、出てくる女達はろくな目に合わないが、とるに足らないようなちょい役でもきちんとキャラクターが立っているのが凄い。特に鮫島とお竜なんて、ゲームオブスローンズもビックリの残虐性を見せており、文句のつけようのないほどの悪役ぶり。長らく、これほどの悪い奴は見たことがないし、今の日本映画・ドラマに足りないのはこの要素だと思えてならない。
あと、犬が好きな人には少し注意なシーンもあるので、ご鑑賞の際はお気をつけて……。