レインウォッチャー

徳川いれずみ師 責め地獄のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

徳川いれずみ師 責め地獄(1969年製作の映画)
3.5
■RWと48の地獄⑳
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…

□戦績
ウェルカム・トゥ・ジャパニーズ・ビザール・ワールド…
緊縛、拷問、覗き、貞操帯、そして刺青。秘宝館の一角をひっくり返したような大盤振る舞いにくらくらしてくる。冒頭と結末はそれぞれ別の陰惨な処刑シーンでサンドされ、業は永久封印、出口はない。

なぜだかふと、ピクミンの歌が頭をよぎった。確か、
♪きょうも~縛る、掘られる、責める、そして~おか~される~、だったっけ?(ちがう)

しかし、こんな血と涙に塗れたえげつない惨状を描きつつ、確かに妖しい美の存在を認めざるを得ない。単にポルノ目的に並べたわけではなく、ここには耽美と探求の意志があるのだ。

娼館の趣向を凝らした迷宮デザイン、女体に黄泉の国への憧れを投射したような無数の刺青たちの和サイケアート的禍々しさ、女主人役・片山由美子の冷たい美しさ(この人あんまり脱がないの残念)、徳川綱吉へのまさかの風評被害。
あまつさえ後半の舞台となる長崎の、怪しい路地が入り組む中華人街には、往年のテリー・ギリアムやギレルモ・デル・トロの世界にさえ通じそうな心躍る猥雑さがある。

また、物語は刺青職人兄弟の覇権争いが中心なのだけれど、本気で誰一人「良い人」がいないことに気付く。そして、最終的には誰も彼も残らず罰から逃れられず、死ぬ。
このへん、もしかして今作の作り手の倫理観は案外マトモなのでは?とか思ってしまうところだ。

というわけで、地獄と呼ぶには審美的に面白すぎる映画。裏ベスト棚の奥に眠らせておくのも良かろう。
記念すべき20本め、敵かと思ったら味方してくれた…的な中盤のアツい展開的なやつということで、初の<NO地獄>判定としたい。


□倒しかた
女装のおっさんに女声のアテレコがされてる(そして誰も突っ込まない)のだけ、本当の本気で意味不明だった。


□次回予告
継ぎ接ぎ!「君●●方」!

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for ろく様
https://filmarks.com/movies/56780/reviews/117509917