半兵衛

ポルノの女王 にっぽんSEX旅行の半兵衛のレビュー・感想・評価

4.0
性に対する鬱屈した思いを爆弾製造にぶつけるわかりやすい童貞男と海外から本人の知らないうちに麻薬の運び屋として来日したスウェーデン女性、そんな交わるはずのない二人がナンパという行為から知り合い男に監禁されるも言葉の通じない二人の関係性はつねにギクシャクしてやっていることは犯罪なのになぜか可笑しくて哀しい。

童貞の主人公を演じる荒木一郎のいかにも女性経験の無さそうな人間を完璧に、それでいてコミカルさをまぶす演技が圧巻(本人は全然違うのに)。そんな荒木だからこそ、女性監禁ものにありがちな嫌悪感を薄めて青春ドラマとして成立させているといえる。スウェーデン女性から出てくる血を見て「お前も人間なんや」と呟く姿も印象的。

二人の監禁ドラマに麻薬をめぐる組織と警察のドラマが絡んで結末へとなだれ込む展開はわかりやすいけれど、荒木の笑いと哀愁漂う演技が決まっていて女性との交流を求めたはずが戻れないところまで来てしまった人間のどうしようもなさが漂い何とも言えない余韻として残る。

不発の爆弾を時代の刻印としてスクリーンに叩きつけたラストも味わい深い。
半兵衛

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