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天使のはらわた 赤い淫画のPerMetalPowerのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)
4.0
反交合至上主義の傑作。さわりも締めも女性一人のマスターベーション。それは少なくとも本作においては女性に特権化されたものであり、男性はそのほんのおこぼれにみっともなく与ることしか許されない(さもなくば、必然的に非倫理的な行為に走るだろう。職場を人質に泉を強請る鶴岡修のように、あるいはのっけから女性を物質化=殺害して犯さねばならないビル街の怪人のように)。たびたび起こる視覚の非対称性が画面に満ちている。ビニ本、鏡、窓、カメラ、TV画面。あるいは見られることの大きな脅威を、新宿駅地下を必死に逃げ惑うことで体現してみせる泉じゅん。非対称性に晒されながら、しかしそうした受傷を自分自身の快楽として取り込んでゆく、まさしくセルフエンパワメントなクライマックス。
阿部雅彦が、勝手に部屋を物色する大家から取り返したビニ本を咄嗟に上着の中にしまいこんで保護する挙動のみっともなさ。しかし、これは憎むべからざるみっともなさだ。
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