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天使のはらわた 赤い淫画の消費者のレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)
3.5
・ジャンル
ロマンポルノ

・あらすじ
とあるデパートに社員として勤める、名美にはおおっぴらには言えない過去があった
それは学生時代、仕事内容も知らぬまま友人の代わりに行ったバイトでエロ本のヌードグラビアを撮影されてしまった事である
以来、彼女はグラビアを見た男達に体目的で言い寄られる経験を重ねており、現在もまた何者かによるストーキングの気配を感じていた
過去の被害から今でも完全に立ち直れずにいる彼女は嫌気が刺していたが一方で抑えきれぬほどの性欲も抱えており酔った勢いから妻子持ちに職場の主任との不倫に手を染めてしまう
更に村木という男が彼女に付きまとう様になり…

・感想
日活ロマンポルノの名シリーズ「天使のはらわた」の4作目に当たる作品で名美と村木という名前だけが共通する別の世界線の2人を中心に強姦を絡めたストーリー、というコンセプトは今回も同様

前作までは名美がどう壊れてしまうかというのを通して性加害が被害者の心をどう蝕むかというのが主題だった
それに対して今作で名美は友人の代役で何も知らず過去に引き受けてしまったヌード撮影によって男性達の性的な視線を恐れながらも同時に性欲が膨らみ自慰や不倫に手を染めてしまうものの壊れる事はない
どちらかと言うとうだつの上がらない東京生活を続けてきた村木が名美との出会いで暴走してしまう事の方が話の主体

これまで名美を狙ってきた男達と同じ様に性欲に任せて彼女を付き纏う様に見えた村木
しかし彼はもっと純粋に名美への愛を抱いていてその真摯さに彼女も心を許しかけた矢先に…という話の流れとなっているんだけど…
純愛と言うには歪過ぎるし性に溺れるという程ではないし話としては何とも言えない

ただロマンポルノとしてのエロ描写はかなり良く出来ていた
名美と村木それぞれのコタツ内でのオナニー描写はモザイクを入れる事なく且つ見事な生々しさを演出していて内に秘めた強烈な性欲を比喩する表現としても見事
村木のアパートの向かいに住む少女、聖子のオナニーもなかなかに歪んでいて後に村木に覗かれていた事を知った上での事と分かるのまで含めて倒錯していてエロい
それだけに話自体がもうちょっと良く出来ていたらなぁという感じ

最も惹かれたのは名美を演じる泉じゅんの圧倒的美貌
何でこんな美女が今より保守的な当時に脱いでいたのか、と不思議に思った
それでいて綺麗なだけでなく色気にも満ちていたのも素晴らしい
正直、彼女の体当たりのエロい演技だけで十分満足出来てしまうレベル

話に粗こそあれど性表現の歪さやそこに投影された心情など光る部分は多くって総合的には良い作品だったかな
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