馮美梅

寫眞館の馮美梅のレビュー・感想・評価

寫眞館(2013年製作の映画)
3.8
丘の上に立つ「日の丸写真館」明治・大正・昭和と写真館の主ととある家族の記念写真の思い出を17分、セリフなしのアニメーションで魅せてくれています。

最初は軍人の男性と女性。恥ずかしくてカメラに顔を向けられず、店主も困っていましたが、外の花を摘んで彼女に持たせると嬉しそうな表情になり、それが1枚となりました。そしてその2人が家族になり、子供が生まれ家族写真を定期的に撮影にやってきますが、2人の子供である女の子は全く笑わなくて、店主はありとあらゆることを試しますがいつも失敗。

少し笑った時もありますがチャンスを逃しやはり笑顔の写真は撮れず、子供の成長と友に周辺の街並みも変化していく。その間には関東大震災で周辺の町は壊滅、そして復興、戦争で再び周辺は焼け野原に、しかしまた復興、年を重ね、少女は乙女となり妻となり、母となり、一人になる。

年を取りながらもやはり彼女は日の丸写真館にやってくる。
店主が寝込んでいるところにやって来て介抱しながらある部屋に入るとそこには今まで写真館にやってきた人たちの笑顔の写真が…そして棚には子供を笑わそうと沢山のおもちゃが、そこには懐かしいものも…

どんな時も自分を笑わせようと努力してくれた店主の事を思い、ツーショットの写真を撮る、そこには最高の笑顔の彼女がいた。

短いながらも心暖かく、そして寂しくも感じられる作品でした。
セリフがなくても登場人物の思いはちゃんと理解することが出来る良作だと思いました。
馮美梅

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