根岸吉太郎監督の「遠雷」と同年の作品。同名の太陽族映画とは全く関係なく、アリスの同名の曲に着想を得て制作。
田舎から上京し、昼はガソリンスタンド、夜はぼったくりバーでバイトするジョギング好きの哲夫20歳(本間雄二)は、原宿でアメフト部の男たちと遊ぶ奔放な富豪令嬢・千加(蜷川有紀)と出会う。はずみで肉体関係を持つが、お互いにどこか馴染めないまま日々が過ぎ、やがて悲劇が。。。
にっかつロマンポルノの一本だが、ATG映画のような作品。助監督は根岸監督と日活同期入社の池田敏春。ディレクターズカンパニー結成の前年の作品。
この時代の青春映画に横たわる”閉塞した日常からの衝動的な破滅行為を描く”という作家スタイルは何だったのだろう?と思う一方で、現在に続く閉塞の始まりとも考えてしまう。
1981年、80年安保は波を起こさずに過ぎ去り、松田聖子と田原俊彦を筆頭にしたアイドルブームとアニメブームで個の時代が始まった。40年後の今との違いは極論すればスマホとインターネット、表現ではCGの進化であり、本質は変わっていない。そして”衝動的な破滅行為”は現実世界で増殖している。
閉塞から破滅に向かうなら、同時代の映画で例えれば「狂い咲きサンダーロード」(1980)や「闇のカーニバル」(1981)の方が好みだし今も求められていると思う。