たてぃ

ワレサ 連帯の男のたてぃのレビュー・感想・評価

ワレサ 連帯の男(2013年製作の映画)
4.0
ポーランドの大統領にもなったレフ・ワレサの物語だが、メインは共産主義国家だった80年代前半の出来事をイタリア人ジャーナリストのインタビューに答えるという展開。政治家としてのワレサではないです。

85歳を過ぎてこの作品を作ったアンジェイ・ワイダ監督のエネルギーもすごいですね…

これ観てて「彼の何がすごいのかよく分からない」と思う方もいたかもしれません。ワイダ監督自身も彼を英雄の視点で描いてないと思います。むしろ自由を勝ち取るために一緒に闘った盟友として描いてるような気がします。

なので、自分の周りの友人か会社の同僚を想像してみて…「子だくさんで地方都市の造船所の電気工員に過ぎなかったのに(しかもアラフォーのおっさん)、わずか数年の間に労働者の待遇改善に立ちあがり、全国の様々な業種が同調してストが行われ、それに政府がビビって戒厳令まで出しちゃって彼を拘束までしてストをやめさせようとまでして、挙句の果てにはノーベル平和賞まで取っちゃう。」くらいの視点で観た方がおもしろいかもしれませんね…

あとは、当時のポーランドは「社会主義」だったんですよね。冒頭で政府が「品物の値段を17%ほど上げます」宣言なんて、今の日本でいえば、「消費税20%にしたるで~」くらいのノリです。「だったらそんな政府は選挙で落とせばいいじゃん」と思うかもしれないけど、選挙権なんてないんです、社会主義の国家は…


≪蛇足≫

出演陣について…

・主人公を演じる俳優さんは「ソハの地下水道」のソハを演じてました。今回も名演技でした。
・ワレサの奥さんを演じた女優さん、今回も綺麗でした…「ソハの地下水道」、「ワルシャワ・ゲットー」でも素敵でしたけど、今回はブチギレシーンは最高でしたw
・造船所の所長を演じた俳優さんはキエシロフスキー監督の「殺人に関する短いフィルム」での青年でした…(25年以上前の作品なので随分変わったなぁ)
・何度もワレサを拘束した公安を演じた俳優さんはキエシロフスキー監督の「トリコロール/白の愛」で主演してましたね…

BGMがロック調の音楽ばかりでしたけど、U2の「New year's day」という曲は、ワレサ率いる「連帯」に触発されて作られたそうです。

http://kawasaki5600.blog64.fc2.com/blog-entry-69.html


アンジェイ・ワイダ監督の最新作が今年公開されるようです。90歳近いのに未だ現役…

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