ゆゆ

たまこラブストーリーのゆゆのレビュー・感想・評価

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)
5.0
たまこが「恋」に気づくまでの物語。まさしく「たまこラブストーリー」だった。

アニメのたまこマーケットではたまこは商店街に恋をしてるって表現してもおかしくないくらい商店街を取り巻く日常に幸せを感じていてもち蔵への恋心なんて一ミリも匂わせてなくて、あんこの淡い恋にも気づかないくらい「恋愛」のれの文字もたまこの中になかった。ただひたすらもち蔵がたまこのことがずっとずっと好きで、たまこのことをもち蔵が好きになるのも分かるくらい可愛くていつかもち蔵の恋が実る日が来ればいいな、と思わせてくれるエンディングを迎えてた。

そんなたまこがもち蔵に東京に行くこと、ずっと好きだったことを伝えられてもち蔵への想いに気づくまでのストーリーがすごく緻密に丁寧に描かれていて見てるこっちまでたまこの胸の高鳴りや気まずい気持ち、焦り、気づき、全部が伝わってくるようなすごく素敵な映画だった。見終わった後の満足感エグい。

恋愛なんて考えてもなかっただろうたまこが告白されたことで頭の中真っ白になってもち蔵のことでいっぱいになって、でもどうしたらいいか分からなくてめちゃくちゃ意識してしまった結果気まずくなって避けて。
でもおじいちゃんが倒れた時に屹然とした態度で助けてくれて、あのシーンのもち蔵は見てる私からしてもめちゃくちゃ頼り甲斐があってかっこよかった。当事者のたまこならもっとそう思ったと思う。でもその後にもち蔵が「この間のことは忘れてくれていいから今まで通りでいよう」って言うの、胸が苦しくて仕方なかった。
アニメからもち蔵がどれだけたまこのこと好きかは見せられて知ってるわけだし、告白だってめちゃくちゃ勇気を出して言ったのを知ってる。なのに避けられて、こんなこと言えるのもち蔵は本当に自分のことどうこうよりもたまこの気持ちを大事にしてて、そんなもち蔵が誰よりもカッコよく思うしたまこを困らせないために自分の気持ちを抑えようとするもち蔵を思うと本当に切ない。
でもたまこの気持ちも分かるから見てるこっちはもどかしくて仕方ない。
ここでヘイトが向く人間って存在しないだろうなと思うんだけどそれって二人の関係性や気持ちを丁寧に描いてくれてるからだなと思う。多分これが他の作品でもち蔵みたいなムーブを取る男がいたら女側に若干ヘイト向いてたと思う。アニメから通してたまこが恋愛に興味なんて示してなくて突然伝えられたことに困惑してる様を今見ているわけだし、アニメから見てる人はもち蔵の気持ちも応援してただろうから「もどかしくて切ない」という気持ちだけが残る。
自分は恋愛物に置いてすれ違ったり拗れたりする展開が好きだから二人ともここのシーン苦しいだろうけどここすごく好きなシーンだった。

そんなことがあってからもち蔵がたまこの動画を消そうとしたシーンは消すな!!!!!諦めるとかやめて!!!!!って泣きそうになったし結局消せないもち蔵に、もち蔵はそれはそれで苦しいんだろうけど消せないもち蔵で良かったと思えたし
たまこが母親が亡くなった時に支えてくれたのがもち蔵だって思い出して自分の気持ちを自覚してからラストシーンまではなんかもう、語彙力なくなるんだけど本当にずっと美しかった。ずっと涙出たもんね。

もう好きなところをあげたらキリがないってぐらい全部好きだったな。
かんなちゃんもしおりちゃんも可愛いし制服姿のあんこちゃんも可愛くてそっちの方でも満足度が高い。
もち蔵に告白されたことで、商店街にいる「夫婦」に着目してしまうたまことその何気ない日常の夫婦の描写も可愛くて大好きだった。
デラさん達が申し訳程度にたまに出てくるだけなのはちょっと笑ったけど総じて満足度が高くて幸せな気持ちになれる映画だった。
ゆゆ

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