スローモーション男

神田川淫乱戦争のスローモーション男のレビュー・感想・評価

神田川淫乱戦争(1983年製作の映画)
4.8
 え、期待してなかったけど、これ凄い映画じゃない?

黒沢清、劇場デビュー作でピンク映画。

欲求不満な毎日を送る女が向かいのアパートで母子相姦している親子を発見し、その息子を救いだそうとするコメディ。

めちゃくちゃ馬鹿馬鹿しい内容ですし、自主映画の領域、そしてゴダール大好きだった頃の黒沢清のパワー全開で途中までなんだこれ?でしたw

ですが、2回目の救出作戦のシーンからあれ?これ凄くねと思い始めたんです。
黒沢清特有の長回しが、SEXシーンでめちゃくちゃ効果的に使われてる。

それでクライマックス、神田川のなかで繰り広げられる戦争。
2人が抱き合った瞬間、インディーズ映画の域を越えた感動がありました!!!
こんな感動を作れるのが凄い!

ある意味、歪んだ性を直し、正しい性を解放する物語としては完璧。それだけでなく、ストーリーも文句無しでピンク映画としても絶妙にキモくてエロい!
音楽の選曲センスも良い!
『ドレミファ娘の血は騒ぐ』はインテリぶって調子こいて作ってた印象でしたが、これは本気で作ろうというのが分かる。
周防正行、森達也、塩田明彦などと真剣に取り組んでたのだと。

ラストシーンも唐突で清々しい!
『CUREキュア』の次に好きぐらいめちゃくちゃ好きな映画でした!