イチロヲ

神田川淫乱戦争のイチロヲのレビュー・感想・評価

神田川淫乱戦争(1983年製作の映画)
3.5
マンションの覗き行為に興じている女性(麻生うさぎ)が、母子相姦を強制させられている浪人生を救出しようとする。独立系ピンクの配給(ミリオンフィルム)に乗せられた、黒沢清の監督デビュー作。

肉体関係ばかり求めてくる彼氏との半同棲生活に倦怠を感じ始めたヒロインが、母親と交わっている少年に新刺激を求めていく。麻生うさぎの中性的な魅力と性の求道者ぶりが発揮されており、取って付けたようなレズ要素に歓喜することができる。

最小限度のロケ撮影に抑えている低予算作品だが、(当時の)職人監督がやらないような演出をふんだんに採用しているため、独特の味が付いている。ダウナーな雰囲気がいっさいなく、アッパーな喜劇路線に一貫しているところが気持ちいい。

映画オタクの大学生が考案する実験映画の乗りが強いため、全編が赤面レベルの瑞々しさと活力に満ち溢れている。1980年代のニューウェーブ感覚を大事にしながら鑑賞するスタイルが得策。
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