MasaichiYaguchi

MIRACLE デビクロくんの恋と魔法のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

2.9
1980年代に青春を過ごした私にとってクリスマス・ソングと言えば、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。
この名曲をモチーフにした中村航さんの小説を映画化した本作では、佳境のシーンで流れるので思わず胸キュンしてしまう。
映画は、漫画家を目指す書店員の山本光を主人公に、幼馴染で芸術家の卵の高橋杏奈、光が憧れる世界的な照明アーティストのテ・ソヨン、光の大学時代のサークル仲間で売れっ子漫画家の北山一路、この4人夫々の片想いが、クリスマスのイルミネーションで彩られた東京を舞台に繰り広げられる。
ベタな恋愛群像劇と言ってしまえばそれまでだが、実写に合成されて登場するアニメのデビクロくんがユニークで楽しく、狂言回し的役割を果たす。
「すべてがゼロになったら、大切なものだけがのこる」
この印象的な台詞が何度か出てくるが、「大切なもの」や幸福は、モーリス・メーテルリンクの童話劇「青い鳥」で描かれたように、散々紆余曲折した挙句、意外なところで見つかるものかもしれない。
この作品は、いつもクリスマス気分に浸りたい人にお勧めです。