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未来を花束にしてのNMのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
3.3
劣悪な環境で重労働に耐える女性たち。女性の地位がとても低い時代。同じ工場でも賃金、内容、勤務時間に男性と差が付けられ、家畜のように扱われる。病気やケガがつきもので、長生きできる女性は少ない。
現状に疑問を持つ女性は多く、世界では女性の参政権を求める運動が活発化していく。
ヒロインのモードも徐々に興味を持ち運動に関わるようになるが、警察に目を付けられ多くの困難が待ち受けていた……。


言葉以外にも女性への乱暴などがあり観ていてつらい。モードが運動に興味を持ったきっかけとなるシーンがある。彼女にとってそれはどうしても耐えがたい情景だった。

女性の扱いは、レ・ミゼラブルのファンチーヌが工場で働いていた時とよく似ている。そういう女性は多かったのだろう。妊娠すると男は逃げ、その子は幼いうちから母と同じ工場で働き、親と同じ人生を辿り苦しい生活から抜け出せない。クビになったら娼婦にでもなるしかない。

モードは結婚し息子もいたが、逮捕されたことで夫婦仲は険悪、職場もクビ、近所の目も冷たくなり、家から追い出され息子にも会えなくなってしまう。この時代はそもそも女性に親権はないらしい。

同じように屈辱に耐え様々なものを犠牲にしてきた女性たちには失うものがない。もう闘うしか道はない。

運動に反対する者も邪魔をするし、運動を心配する者も止めようとする。
話が進むにつれ彼女たちへの圧力は増していく。モードは20代なのにどんどんやつれていく。

世界中にこんな思いをしながら権利のため闘った人たちが大勢いたことを想像させた。

何かの権利を認めるかどうかの話になると、「これを認めてしまうと際限がなくなるから」という理屈は頻繁に使われると知った。

関係ないが夏以外でも麦わら帽子は普通にかぶっていることに気付いた(服装からして秋口だろうか)。


メモ
サフラジェット……女性参政権を求める運動の活動家たちの呼称で、サフラジストとも言うが、サフラジェットと言う場合特に本作の時代であるイギリスにおける過激な活動を指すことが多い。彼女らのトレードマークである三色は、紫は尊厳、白は純粋さ、緑は希望を象徴している。本作の字幕では「急進派」と呼ばれている。
パンクハースト……サフラジェットを率いた人物。
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