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ファイ 悪魔に育てられた少年のLEGIONのレビュー・感想・評価

3.7
5人の犯罪者に育てられた少年を待ち受ける過酷な運命を描いた物語。心の傷という名の”炎”に油を注いだような作品で心をかなり病ませる展開は悲しくもかなり刺激的だった。怪物が常に視界にいるという幻覚をなくすために自らを怪物に成ることがどれほど凶悪的なものかが分かった。ハンムラビ法典の一説『目には目を歯には歯に歯はを』を表現したような物語であるため復讐が意味するものの重さを知れた。アクションの質が高く、グロさもあって楽しめた。グロさの割に血の量が大して多くなかったのがリアリティに欠け、少し残念だった。主人公には犯罪集団五人の父親がいて、それぞれ銃やナイフ、車など得意な戦い方を持っていて全員の特徴を組み合わせた犯行には美があり見てる側も騙されるような小さい仕掛けがあるためエンターテイメントとして前半は楽しめた。後半では5人とも自分を生かした戦いになってなくて意地の殺し合いになっていたので勿体なく感じたが、別の魅力が出ていたので楽しめた。
主人公が最初と最後で全くの別人に変化していく過程を映したものとしてはとても綺麗にまとまっていて、主人公の変わりようを見たことで悲しみと恐怖感が募った。人間が変化をするのはそう簡単なことではない。しかし主人公の場合はたった一発の銃で大きな変化をもたらしてしまった。何かしらの機転で大きな変化を伴ってしまう人間の脆さをうまく表現した作品にもなっていた。
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