アキラナウェイ

ファイ 悪魔に育てられた少年のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.6
最初に言っておくと、
最後(エンドロール)が俊逸。
それまでの血生臭い殺戮も
歪んだ愛憎のもつれも
全てをほんわかと包み込んで、
作品の質感まで変えてしまう。

幼い頃に5人の犯罪者集団"白昼鬼"により拐われ育てられた少年、ファイ(ヨ・ジング)。彼らを父親と慕いながら、犯罪行為を手伝わされる日々。白昼鬼のリーダー格ソクテ(キム・ユンソク)に殺せと強要されたその男の正体を知った時、ファイは復讐の鬼と化す—— 。

主演のヨ・ジングくん、当時15歳。
ファッッ!?
大粒の涙を流す演技も、
キレのあるアクションも、見事。

前述のソクテ(キム・ユンソク)がまぁ怖い。目が怖い。いつもマジギレ気味だから怖い。

海外留学を薦めるインテリ派のジンソン(チャン・ヒョンソン)。

兄のような親しみ易さがある銃器担当のボムス(パク・ヘジュン)。

気前良くお小遣いをくれるナイフ担当ドンボム(キム・ソンギュン)。

そして、グループの癒しであり、もっともわかりやすい愛情を示す運転手のギテ(チョ・ジヌン)。

このチョ・ジヌンさん。この後色んな韓国映画でお目にかかる事になるけど、どれもシュッとした男前で、本作だけはぽっちゃりおデブでまるで別人。役者って凄い。

5人の父親達のキャラがそれぞれに個性的で、それぞれの愛情表現でファイと接していたのが印象的。

育ての親である5人の男達と
実の父、母。

全てを知った時の、少年の張り裂けそうな胸に噴き上がる怒りと憎しみと悲しみ。

これは心、抉られる。

サイドブレーキを生かしたカーアクションはスリル満点だし、制服姿の高校生スナイパーというだけで何せカッコ良いんだが!!

悪魔の様な父親達だったけど、最後にファイが描くイラストがハートウォーミングで、それまで張り詰めていた心が綻んでいく、素晴らしいエンドロール。