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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニストのsoffieのレビュー・感想・評価

4.0
2014年劇場公開

監督は「ベートーベン 不滅の恋」のバーナード・ローズ

ヴァイオリ二ストのデビッド・ギャレットが主演、製作総指揮、音楽を取り仕切った映画。

私はこの映画を観るまで、デビッド・ギャレットというヴァイオリ二ストを知らなかった。
見てビックリ!!!!!!
セクシーダイナマイトイケメン!!!!!!

最初に見た時、ヘビメタバンドのギタリストみたいだな!革パンに上半身裸でギター弾いてそう!!と思ったらメタリカと演奏したこともあるそうなので、私の第一印象は間違ってなかった。

1782年イタリアのジェノバに生まれたパガニーニは「ヴァイオリン史上最高の奏者」と称えられる天才。

ゲーテをして「この宇宙に存在する悪魔的な要素を身につけている」と言わしめ。

シューベルト、シューマン、リスト、ブラームス、100年後のラフマニノフにも大きな影響を与えた。

ヴァイオリンの「超絶技巧」は自分の曲を誰にも真似出来ないようにした曲とも言われ、映画の全編はクラシック音楽を聞かない人でもどこかで聞いた事があるはずの名曲で彩られている。

この物語は既にヨーロッパで有名なパガニーニがまだ演奏を行ったことの無いイギリスのロンドンに初公演に行くストーリーだが、クラシック音楽の上品な映画と言うより、超有名ロックミュージシャンの「SEX、ドラッグ、ロックンロール」と説明した方が分かりみが深い。

舞台に姿を現すだけで女性が黄色い声を上げ、演奏したら会場は彼の発するオーラで興奮の坩堝となり失神者続出、弾き終わると、女性達が「抱いてー!!!!!!!!」と怒涛の如く楽屋まで押し寄せる。

そんなヴァイオリ二ストいたの??と思うが主演のデビッド・ギャレットがもうそのまんまのパガニーニを演じている。

ドイツ人の父とアメリカ人の母の間に生まれ、ヨーロッパでヴァイオリンの完璧な英才教育を受けたギャレットは13歳でストラディバリウスの「サン・ロレンッオ」(推定5億円)を付与されている。
プロになってからも父親の厳しい監視を受け、1日6~7時間の稽古を欠かさず、17歳の時、両親に内緒でNYのジュリアード音楽院を受験して受かり、やっと父親の監視から逃れ、親のお金に頼らないため、モデルのアルバイトをしていた。
(13歳でストラディバリウスを付与される才能で、モデルのアルバイトが出来るくらいの恵まれた容姿を持ってるって天は2物も3物も与えてる!)

それは13歳でバィオリニストとして学ぶことが何も無くなってしまったというパガニーニに似ている。

歴史的有名音楽家の映画で本物のプロが演じる事は珍しいだろう。
映画の中の演奏は主演のギャレットの生演奏だから弾いている姿も生々しい。

モーツァルトは宮廷音楽家になった後も仕事があったのは一重に彼の父親のおかげ、その証拠に「ドン ジョバンニ」の初演から数年後、父親が亡くなると同時に金銭的に苦しくなり、身体を壊し亡くなっている。

パガニーニもマネージャーのウルバーニと別れた後、元からの持病の悪化と金銭的苦境で苦しんでいる。

どんな天才もそれを支えて生活出来るようにお膳立てをしてくれる人がいないと生きて行けない。

この映画ではロンドン公演の際にパガニーニを呼び寄せた指揮者の娘との恋が描かれているが、やはりどんな男性も「手に入らなかった」女性の事が最後まで忘れられないんだな〜と思った。

史実としてはパガニーニはヴァイオリンをやめてギター奏者の女性と暮してギターの作曲をしていたという話もあるが…。

映画の中ではグァルネリを弾いている設定のようだが実際の音はギャレットのストラディバリウスで演奏されている。

当代きってのセクシーヴァイオリ二ストが自ら演じた史上最高の天才の物語。

音楽を聞いているだけでありがたい映画。
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