うめ

ベイマックスのうめのレビュー・感想・評価

ベイマックス(2014年製作の映画)
3.5
 第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞した作品。ディズニーがマーベルを買収した後で、マーベルコミックの中から映像化されたのが今作。兄タダシを亡くした14歳の少年ヒロの成長物語。

 原作の舞台は東京なのだが、今作では東京とサンフランシスコを掛け合わせた「サンフランソウキョウ」という架空の都市を作り上げている。この都市がよくできている。ベイマックスの顔が神社の鈴をモチーフにしてあるように、至る所に東京の雰囲気が表れている。高層ビル群に数々のネオン、瓦屋根も桜も東京タワーもある。一方で、サンフランシスコらしさもちゃんと残っている。ゴールデンゲートブリッジにケーブルカー、しゅっと細い家々など。鑑賞前はサンフランソウキョウという名前を聞いて、よくある不自然な日本が演出されないだろうかと不安を覚えたが、それほど気になることもなかった。(ベイマックスの設定含め)こうした細かい描写がしっかりとできるのは、やはりピクサーのジョン・ラセターが製作総指揮にいるからではないかなと思う。

 その一方で『アナと雪の女王』同様、ストーリーがどうも面白くない。あらすじを知って今作を観始めた訳だが、冒頭10分ぐらいで展開が読める(笑)いや、子ども達も観るし、別に読めてもいいのだけれど(でも、できれば大人でも展開が気になるストーリーにしてほしいですが)…あの結末はちょっとタダシが可哀相じゃないですか(笑)?中盤でも、ヒロあれだけ落ち込んでたのにタダシそっちのけで発明を楽しんでいる(笑)ヒロとベイマックスに視点が移っていったのはわかるが、この作品の大本はタダシとヒロのつながりだろう。ストーリー展開を急ぎ過ぎたあまり、大事なポイントや描写を置き去りにしているように感じた。うーん、『塔の上のラプンツェル』や『シュガー・ラッシュ』は面白かったので、次作『ズートピア』に期待しよう。

 ディズニーのマーベル買収や『アナと雪の女王』の次に東京がモチーフとなっている作品を持ってきたことを考えると、非常に大人の事情が感じ取れるが(笑)、映像は綺麗で迫力があるし、ベイマックスが魅力的なので、見飽きることはないだろう。ただやはりピクサー制作作品には劣る。


 ちなみにマーベルコミック原作なので、あのおじいちゃん出演してますよ(笑)アニメにも出るなんて、抜け目ないですね〜。
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