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アニーのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

アニー(1999年製作の映画)
4.0
1999年にディズニーが製作したテレビ映画版のアニーはまさかの直毛!?CM込みの2時間枠に収めるべく、映画化三作のうち最もコンパクトでさながら総集編。そうはいっても、2014年版ではなぜか全てカットされているサンディ(犬)を呼び寄せる場面、ティファニーのペンダントを贈られる場面、両親について告げられる場面の三大名シーンはきっちり入っており、それ以外の曲間の芝居は極力削ってひたすら歌うバージョンです。

三作の中でこちらの1999年版は良く言えば最も泣ける、悪く言えば最も湿っぽいテイストです。さすがディズニーだなと思ったのはバックバンドの演奏。クラシカルで夢と魔法の世界にぴったりな曲のアレンジでお届けされるオケの演奏はディズニーだからこその味わいで安定感と心地のよさを感じます。

ダンスの振り付けがめちゃ古典的。ミュージカルのダンスを想像してくださいと言われたら思い浮かべるであろうその通りのものが繰り広げられていきます。1982年版の豪華さに比べると地味ですが豪邸での召使総出のダンスは圧巻だし、キャシー・ベイツ演じるミス・ハニンガン含むワル三人衆のEasy Streetも楽しい。アニーが観に行くブロードウェイの舞台はおそらくAnything Goesが元ネタかな。

代表曲であるTomorrowは本作が一番原作ミュージカルに忠実で満足度が高い。アニーの子の声が特徴的なので多少好みが分かれそうなものの、しんみり静かに歌い始め歌詞とともに少し上を向き、間奏部分でドキドキし、晴れやかに曲の終盤へ向かっていくこの感じ、こうでなくっちゃ!

映画化三作のいろんな比べ方ができますが、人種の扱いは時代を感じますね。黒人にキワモノ的な役柄をさせる1982年版、孤児たちに人種の多様性が出てきてグレースが黒人女性になる1999年版、そして主役が黒人の2014年版。1982年版は女の子の露出具合もドン引きレベルで今なら完全にアウト、こちらも時代を経るごとに控えめに。

ファミリー・コメディ映画と化した2014年版、1930~50年代MGMミュージカル映画の黄金期スタイルを踏襲した1982年版に対し、1999年版本作はアニーの髪同様、一番癖がない万人受けタイプと言えそうです。テレビ映画として作られたので、「ハイ、ここからCMです」と区切りがわかる編集はご愛敬やね。
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