ゆうゆ

アッテンバーグのゆうゆのレビュー・感想・評価

アッテンバーグ(2010年製作の映画)
4.3

余命わずかな父と暮らす男性経験のない23歳ファザコン女子の生態と自立の物語。
すこし「ゴーストワールド」味もあるくせ強ポスターとランティスモスの名前に心踊らせて観たら 滴るようなふたりのキスシーンからのオープニングに団欒のリビングが凍った…。
男性にも恋愛にも興味のない主人公マリーナはアッテンボロー博士(タイトルの由来)の動物ドキュメンタリーを観て過ごし動物モノマネで父と戯れ 経験豊富な親友には性的レクチャーを受けている。ある男性との出会いで開かれていく性への扉 父の病状の進行に伴い辿り着いた思惑、それは血の繋がった大好きな父と肉体的に繋がれない 娘としての葛藤と歪んだ願望を内包した父への愛情表現であり 彼女なりの'おみおくりの作法' だったのかもしれません。
「哀れなるものたち」にも通じる生と性と死。それらを淡々と受け入れていくマリーナの秘めた悲哀は無機質なギリシャの町並みとリンクし シュールなアート的表現の中に乾いた寂しさを滲ませていました

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翼のように躍動する肩甲骨や時折挟まれる不思議ダンス、冒頭の執拗なベロチューや標本みたいな合体シーンに情熱やエロスを感じないのは 動物の求愛行動を熟知したマリーナの いたってまじめな模写だからかもしれない。
マリーナが初体験を試みる相手役をなんとランティモスが男前に演じてて、今作の共演を機にマリーナ役の俳優さんは彼の奥さまになったそう ほえ~🌸
ゆうゆ

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