オトマイム

卍 まんじのオトマイムのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
3.8
初・増村保造。観る前は若尾文子と岸田今日子の役が逆だと思ってた。女も男もたぶらかす魔性の女は文子さんでした。

谷崎の原作は大阪弁がずっと口語調で続くのがたいへん読みづらく途中から斜め読みした記憶^^;;それが映画ではまったりとした語りが心地よく、湿気をたっぷり含んだ耽美と狂気の谷崎ワールドはかなり表現されていたのではないかと思う。卍のように絡み合い抜け出せなくなる倒錯の世界。
後々まで影を落とす綿貫が実はキーパーソンなのだけれど、彼と光子の共依存をもう少し深く見せてくれたら凄みがより増したのではと感じた。ねちねち・くねくねと粘着質で偏執的な綿貫を迫真の気持ち悪さで演じた川津祐介はかなりインパクトがあったけれど、女のような色白の美男だとよりリアリティがあったかもしれない。それでもきょうだいの契りは凄まじかった〜

「あんた、こんなきれいなからだしててんなあ」美しい女性の裸体に魅了されるのは女も同じ。但し裸体の撮影は替え玉だそうです(本人談)。姉ちゃん(岸田)のつやつやオレンジ色のマニキュアと口紅が似合っていて印象的だった。