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卍 まんじの708のネタバレレビュー・内容・結末

卍 まんじ(1983年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品を観た後、やはり若尾文子×岸田今日子ヴァージョンを観た方がよさそうだと思ってそちらも観ました。

谷崎潤一郎の原作をかなり改変していて、光子に思いを寄せる綿貫が出てこなくて、光子と園子、そして園子の夫とで、光子が園子の旦那を寝取る単なる三角関係っぽい展開になっていて、若尾×岸田のサスペンスっぽさがなくて、ストーリーとしてはかなり平坦。文学っぽさが薄らいでいて、若尾×岸田の隠された淫靡さもないんですよね。時代的に同性愛のタブーさが、若尾×岸田より少し薄れてきたからかもしれませんが。

樋口可南子も高瀬春奈も大胆に脱いでます。どことなくロマンポルノっぽい印象も。今時の人にとって樋口可南子は、ソフトバンクのCMのお母さんくらいの印象にないかもしれませんが、かつて篠山紀信と組んでヘアヌード写真集を出すくらい大胆でアグレッシヴでした。

どちらかというと、樋口可南子の方に注目が集まりがちですが、僕は高瀬春奈に注目です。かなり豊満な体を惜しげもなく潔く出していて、なにかとすぐにオッパイを出しちゃうフランスの女優のようにすら思えます。女優って仕事は肉体労働だなとつくづく思うのですが、今の日本じゃコンプライアンス的なことなどで、ここまで演出するのはかなり難しいでしょうし、脱げば脱いだでマスコミが大騒ぎ。本当につまんない時代です。ストーリー改変はちょっと…という感じですが、この作品には今の時代の映画にはない気迫みたいなものを感じました。ちなみに高瀬春奈はサラリーマンと結婚してから、専業主婦に専念しているんだとか。そういう部分にも潔さが感じられます。

生理の周期が一緒になれば辛さを共有できるというくだりに、直接的な愛撫よりもいやらしさを感じました。そして、光子の妊娠で生理がストップするのが、園子との愛の終焉そのものに思えました。

原田芳雄の登場シーンになると、途端にコメディな雰囲気になって和みます。そして、小汚ないけどセクシーでダンディだなぁと改めて思いました。
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