フライ

キリング・フィールズ 失踪地帯のフライのレビュー・感想・評価

3.1
重い雰囲気と胸糞な事件、実話ベースと言う事やキャスティングの良さもあり、個人的に作品として面白くなる要素だらけだった様に思えたが、とても残念な作品だった。単純に監督に問題が有るのか?としか思えなかった。

テキサス州で刑事をするサム・ワーシントンが演じるマイクは、地元出身で父親も刑事をしていた短気で熱い男だが、ジェシカ・チャステインが演じる元妻パムも刑事をしていてマイク同様熱い性格で、犬猿の仲状態。ジェフリー・ディーン・モーガンが演じるマイクの相棒のブライアンは、ニューヨーク出身でありながらも敬虔で優しい性格もあり周りからも信頼を得ていた。
マイクとブライアンは、不法侵入騒ぎの捜査をしている最中、女性遺体発見の知らせを受け現場に向かう。少女は殺されており殺人事件として捜査する事になるが、クロエ・グレース・モレッツが演じるアンが、保護観察中にも関わらず雨の中、びしょ濡れで歩いておりブライアンは心配して自宅まで送り届ける。ところが家では母親が数人の男性客と売春行為をしておりマイクは口答えをする客の一人ライノに激昂するが、とりあえずその場は一段落する。その後パムからブライアンの携帯に連絡が入りキリングフィードと呼ばれる殺人多発地帯で、行方不明になっている女性の車発見の連絡を受ける。そこではこれ迄沢山の女性が遺体で発見されておりブライアンにとっては心痛の種でもあり、その後アンを含め事件に巻き込まれて行く事になるのだが…。

冒頭、車のライトでカメラマンの影がしっかり映っていた時点で心配だったが…
キャスティングや、作品の暗く陰鬱な雰囲気は、クライムサスペンス作品としては個人的に、とても好きな世界観だったのだが、断片的でストーリーが掴みづらく、余りにも言葉足らずな展開に途中からイライラしてしまった。サスペンス作品であれば説明不足はある程度は許されるとは思うが、それは伏線や匂わせなど脚本、脚色を上手く展開させて成り立つと思えるのだが、雑なところや、身勝手と言うかご都合主義な展開が余りにも目立ってしまいとても残念だった。そこに警察の雑な演出による後手後手な展開も重なり尚更イライラしながら鑑賞してしまった。
少女の連続失踪殺人事件と言う胸糞な内容と、それに伴うキャスティングや演技は素晴らしく、そこが唯一の救いと言ったらおかしいが、最後まで鑑賞出来た理由。刑事を演じたベテランキャスト陣の熱い演技は好感を抱いたし、何より可愛いクロエの陰鬱な雰囲気と悲惨な状況が、男心と親心両方をくすぐりドキドキしながら鑑賞出来た。

この手の分かりづらい作品は、二度見するのが常なのだが、完全に二度目は時間の無駄だった。良作になる要素は多分にあったのに、唯一分かったのは、製作者側の力不足と言う点で、とても残念に思えた。
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