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イヴ・サンローランのpikaのレビュー・感想・評価

イヴ・サンローラン(2014年製作の映画)
3.5
イヴ・サンローランのキャリアの初期から1976年のコレクションまでを、公私のパートナーだったピエールの視点から語られる。ピエールの書籍がベースなのかな。
ボネロの「サンローラン」が同年公開って凄いな。ボネロ版と違うところが多々あって、おそらくコチラのほうが史実に近いんだろうけど、ボネロ版で描かれている1960年代中盤からの時代描写は圧倒的にボネロ版の方がいい。クライマックスのコレクションは特に。なぜクライマックスを同じコレクションにしたのか謎だが、イヴ・サンローランにとってピークのコレクションだからとかなのかな。
互いに制作しているのがわかっていただろうから、魅力は半々に分け合ったのだろうか、とゲスるくらい、こちらはこちらにしか描かれていないキャリア初期の部分が良い。若々しく初々しいイヴ・サンローランの、内気ながらも天才的な人物像を存在感たっぷりに見せてくれて素晴らしい。実際、ピエール・ニネは撮影当時20代前半くらいだったみたいだからまさになんだろう、若い時代のイヴがマッチしている。たまにギャスパー・ウリエルを思い出すのは、やはり両者ともイヴ・サンローラン本人を研究していたからかな。
デザイン以外は何もできずおどおどしつつもデザインに対しては真剣な姿、ピエールとの出会いとブランドの起業など、外の世界と内と世界をシンプルながらも丁寧に見せている。
2時間弱で20年弱を描くとなると駆け足気味になるし、半生を追うだけで精一杯だろうに、伝記映画としてちゃんと成立させ、イヴ・サンローランの人間味も表出し、コレクションまで見せていて盛りだくさん。面白かった。
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