Tully

イヴ・サンローランのTullyのレビュー・感想・評価

イヴ・サンローラン(2014年製作の映画)
3.0
いつの世も本当の天才は異次元の世界に生きているものなのだなと思いました。芸術を産み出すのはぎりぎりエクストリームな脳の働きによるものなのかもしれません。ほとんど自分を破壊しながら生存に直接関係のない美や芸術に身を捧げているようにも感じました。そしてそんな天才は、献身的なスタッフに支えられてこそ天才としての仕事ができるのだということが、理解者兼参謀として 「サンローラン」 に最初から最後までつき従った 「ピエール・ベルジェ」 によって表現されていました。ある意味壊れた天才の才能をいかにビジネスにのせていくかという見方もできると思います。もちろんこの映画の主題は 「サンローラン」 をとりまく愛の物語なので、あまりビジネスライクな見方は興ざめになってしまうわけですが。ホモセクシャルな描写が多々あり、第二次大戦までは立派な犯罪だった国もあることを思うと短期間にヨーロッパの意識革命が進んだのだなぁと感慨を覚えます。第二次大戦とベトナム戦争で人々の意識は劇的に変わったんですね。そんな戦後史も垣間見させてくれました。ただしドラッグのシーンが多いのはストーリーに直接関係することなので避けるわけにはいかないのは分かりますが、18禁でもよかったんじゃないかと思いました。サンローランの美しい衣装やショーの様子が見られるのは楽しかったです。
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