イチロヲ

ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版のイチロヲのレビュー・感想・評価

5.0
ゾンビの群れを掻い潜り、ショッピング・モールに辿り着いた男女グループが、生存を賭けた熾烈な闘いを繰り広げていく。ダリオ・アルジェントがロメロ監督の「ゾンビ」を再編集している、ヨーロッパ向けの劇場公開バージョン。

ロメロ版と比べてみると、登場人物の台詞劇を削ぎ落として、アクション映画寄りのテンションへと変容させていることが分かる。映像、音楽、効果音が、間違い探しレベルで切り貼りされており、全編を通してゴブリン・サウンドがド派手に鳴り響く。

「物質主義への警鐘」を織り込みながら、異なる印象の作品へと仕上げてしまう、その手腕がスゴイ。日本国内のソフトで使用されている映像ソースに、さらなる編集点(しかも雑な仕事)が見受けられるが、物語の進行を妨げるほどではない。

ロメロ版(ディレクターズ・カット版)は一人映画祭と題しながら、じっくり鑑賞したくなる作品。一方、アルジェント版は日常のBGMとして傍らに流しておきたくなる作品。要するに、どちらもサイコー!
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