horahuki

ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.9
でーん でーん でーん てれれー

『日本初公開復元版』が今週末からこちらでも上映されるので元にしてるアルジェント版を復習!ホラーのサブジャンルの中でもゾンビはあんまり好きじゃなくて、実はそんなに思い入れのない作品なのですが、それでもこれはやっぱり面白いわ!

私的には『米国劇場公開版』の方が好きなんだけど、ところどころで編集に違和感ありまくりだったあちらに対して、こちらは繋ぎがスムーズな印象。ゴブリンの曲は耳について離れないレベルのインパクトだし、その曲で条件反射的にシーンの緊迫感とか空気感が蘇ってくるから正解ではあるんだろうね。

『米国劇場公開版』は嫌味ったらしいって言ったら言い方悪いけど、問題提起を前面に押し出そうとするロメロのやり方が直に感じられるし、余韻をガツンとぶちかましてくるようなパワーがあったけど、こっちはその辺りは薄味。もちろん汲み取れるだけの要素はしっかりと残してるんだけど、多くを語りたがらないアルジェントらしい編集な気がした。

地味に好きな変更は、スティーブンとフラニーがヘリの操縦うんたらでちょっと揉めるところ。フラニーからスティーブンに向けて発せられる嫌味な言葉が削られ、スティーブンが銃と弾薬をテーブルに叩きつける「ダン!」っていう怒りを表す音がなくなり、その後のフラニーからの謝罪の言葉もカットされている。まるで揉め事なんてなかったと言わんばかりに。感情の細かな変遷を重視して語るロメロと重視しないアルジェントとの作風の違いが反映されてるような気がして面白かった。スティーブンの表情から滲み出る怒りは全く消せてなかったけどね(笑)

『DC版』は見たのか見てないのかサッパリ思い出せない…。ファン編集の『全長版』は見る気にならないけど、ぶっ飛んでそうな『日本初公開復元版』はめちゃ楽しみ♫

R2.11.12再鑑賞
やっぱりこの姿勢は別物といってもいいくらいやなと。どちらかと言うとフラニーよりもスティーヴン側に寄り添ってるような気がする。ラストの決断に至るまでもこちらにはシーンがあるので、よりスティーヴンを掴みやすいし、矮小化させる意図がくみ取れる。襲ってくるゾンビに対してのスーパーの安売りアナウンスも無くなってるように思えたし、そのあたりもよく言われる大量消費への風刺として機能しているわけだから、アルジェントの意図が明確に示された面白い編集の差だと感じた。それでもやっぱり米国劇場版の方が好き。意図の違いの部分以外にも編集はアルジェント版の方がすっきりして好きなんだけど…。
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