びんぼん

シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっどのびんぼんのレビュー・感想・評価

4.0
公演時に見逃してしまい、シネマ歌舞伎になって初めて観に行ったのは何年前だったか…

今回は娘が観てみたいとの希望で久々にシネマ歌舞伎に足を運んだ

そもそも中村屋と宮藤官九郎のファンなので、好きにならない訳が無い演目である
中村屋とクドカンの相性の良さは、大河ドラマ「いだてん」でも証明されたと思うが、「大江戸りびんぐでっど」は好きな人にはたまらないし、はまらない人には全く何も響かない、どころか嫌悪感を持つ人もいるのかもしれない

出オチのようなオープニングから、歌舞伎らしいダイナミックでドラマチックなエンディングまで、初鑑賞の娘も一切退屈せず鑑賞したという

三津五郎さんの、歌舞伎役者のセルフパロディのような役どころがたまらないし
小山三さんの町娘のおかしみ
扇雀さんの安定感
若手を中心に盛り立てながらも、脇のベテランがあってこその歌舞伎ミュージカルコメディ

そして何と言っても我らが勘三郎丈である
型があってこその、型破りとは彼がよく言っていたことだが、まさにその通り
古典もきっちりできるから、セルフパロディのような新作もただのお遊びにならない
勘三郎さんが居るだけで、舞台に花が生まれるようだ
今回の衣装はボロボロの汚いものだったけど、目が惹き付けられる
これぞスターなのだなぁ

生の舞台で拝むことが出来ないのは本当に残念なのだが、シネマ歌舞伎としていくつかの出演作品が映画館で観られるのは有難いことだ

シネマ歌舞伎は本物の舞台には敵わないという意見を目にしたことがあるが、それはそうである
ただ、比較することもおかしいように思う
両者は全く別物と捉えるべきではないかしら

シネマ歌舞伎にもその良さはある
亡くなってしまった役者を観られるのも勿論、どんな良席からも見られないようなアングルだったり、至近距離だったりから役者を観ることができるし、映画ならではの効果を加えられたりもできる
バカには出来ないジャンルとして、これからも存続して欲しいと願う
あまりの臭さに鼻の存続が危ぶまれるから、存鼻(ゾンビ)と名付けたっていうのが、あまりにもクドカンらしくて、マスクの中で笑い声を出してしまった
びんぼん

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