ゾンビものは数々あれど、これはかなりの珍品の部類に入るだろうな。
松本幸四郎、中村七之助、中村勘太郎、中村獅童ら、歌舞伎界の豪華キャスト競演で送る、宮藤官九郎の悪ふざけ。
江戸にゾンビって珍妙な取り合わせは、一応落語の『駱駝』を元ネタにしている。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」よろしく、和服姿のゾンビが歌って踊る。
そのゾンビ=駱駝を「派遣」と呼び替えるのだが、この冗談が笑えない。
カタコトの言葉を話すゾンビたちを幕府の労働に低賃金で貸し出しますって竹中平蔵みたいな商売を始めるんだが、
「派遣だ、派遣だ」と言って歌って踊り、時には「派遣のくせに」だの「派遣のせいで」だの町人に罵られ、クドカンはこの辺のギャグはどういう風に受け入れられると思って書いたんだろうね?
これコンテンツとしてそれほど世に出回ってないから問題になってないけど、テレビとかで露出が増えたら絶対批判されると思う。
少なくとも派遣の人が見たら良い気はしない。派遣をゾンビ扱いして、低賃金で黙って働くとか言われちゃうんだから。
ただ全体的に見れば、ジャパニーズゾンビの歌舞伎風ダンスに、クドカン流おふざけコメディ。気軽に見ればそれなりにはおもしろい。
ただターゲットととしてどの辺を狙ってるのかは甚だ疑問。先日『カメ止め』を見て喜んでたスティーブン・キングが見たら何て言うかな?