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ゴーン・ガールのkuuのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
4.3
『ゴーン・ガール』映倫区分R15+
原題Gone Girl.
製作年2014年。上映時間148分。

ベン・アフレックを主演に、ロザムンド・パイク(作中ニックがエイミーを壁に押し付けたとき、肉体的にも強烈だったので、ロザムンド・パイクはほとんど脳震盪を起こしたらしいけど演技を続行、彼女のエイミー役への熱意に脱帽)、ニール・パトリック・ハリスらが共演で、鬼才デビッド・フィンチャー監督が、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を映画化。

幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。
しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。
警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。。。

夫婦が、ってか、男子と女子が、マジにわかり合うちゅうことは、どないなことやろなぁ。
今作品は、チョンガ(独り身)の小生でも震えるほどの恐怖と迫力で伝わってくる。
嘘から始まり
『嫉妬』『支配』
『背信』『欺瞞』
『虚栄』『復讐』
そして嘘。。。
男女の思い付く全てのマイナス感情を、どっぷり堪能したかな。
映画としては典型的な、『信頼できない』ままで紡がれる。
ある日突然、奥さんが失踪するんやけど、妙に冷静で何かを隠しているような旦那のニック。(余談ながら今作品にはモデルとなった事件がある。
米国のバークレーで発生した『スコット・ピーターソン事件』)
X-dayに至るまでのナルシズムまみれの妻エイミーの日記も違和感を抱かせる。
じわじわ・ジンワリ不審感が増殖してくる、この誘導作戦にまんまと小生はのっちまって、今作品の展開が抜群に上手いと思った。
腹の探り合いは、気持ち悪さとともに、不快感をこれまた増殖させられているようで、そこだけなら、まるで音楽の三和音のコードに『7度』=『セブンス』を付加するセブンスコードをおもった。不快感すら感じるのに、全体として観たときシャレオツな演出となる。
でも
ガタンゴトン・ガタンゴトン絶叫マシーンの頂上、ヒュ~ひぇー疑惑が暴かれる瞬間、驚きで笑えてきた(小生はビビっちまうと笑ってしまう)。
そこからお話はグルングルン転げ落ちるように一直線に真っ逆さまっすわ。
観てる小生にも、作中のキャラにも、ストーリーそのものに
波紋疾走(オーバードライブ)の衝撃を与える。
あァァァんまりだァァアァ~
     byジョジョの奇妙な冒険              ポルナレフのセリフより。
小生の無知な予想を裏切ったチョイ斜め上の展開は面白かったなぁ。
なんで今まで観なかったんやろ。
鰻重と映画じゃ二重底三重のプロット大好物の小生は、ハっラハラさせてくれた本作品には感謝。
今作品は、スティーヴン・キング絶賛と謳われている(軽がるしく絶賛って本の帯に寄稿を連発しとるキングやけど)、これはキングぬきでも絶賛すわ。
胸クソ悪くなってるはずなのに映画を観たなぁって爽快感はあるのが不思議な作品でした。
結婚てのは一種の殺し合いにすぎないんかなぁ。
理想の自分、 
自我そのもの、
価値観の破壊しあい。
そうやって考えると互いの命の奪い合いに至ることもあるんかな。
極論やろけど、あらゆる結婚をドラスティックでドラマティックに拡大するとこないになるんやろな。
小生は独り身でいいやぁ。
夫婦愛てのは自己愛やと理解できるなら、自己を肯定してくれる相手のための演技が必要となる。
小生にはムリやなぁ。
多かれ少なかれ、意識や無意識にかかわらず夫婦は互いにこれを演じてるんかな。
ブルブル、、ブルッ。
本作品の夫婦は無間地獄やなぁ。『ゴーン・ガール』のニックは、結婚してはる社会の旦那さんが最も厭な部分を極大化してるんやろし、
エイミーは、結婚してはる方の奥さんの邪悪な部分をおぞましく見せつけてる。
私的ながら『ゴーン・ガール』てのは失踪した奥さんと云うよりも、野郎にとって理想の“女性像”が消えちまったことを表してるんかと思います。

まぁ結婚は当分するなと、小生に教えてくれた傑作でした。

余談ながら、
ニックとエイミーが図書館でエッチするとき、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』について話してた。
ロザムンド・パイクは、ジェーン・ベネットの役を演じた『プライドと偏見』にでてたような。。。

ロンダ・ボニー刑事役のキム・ディケンズは『フィアーザウォーキングデッド』でマディソン・クラーク役もハマり役やったけど、刑事も似合ってた。
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