Donatello

白鯨との闘いのDonatelloのレビュー・感想・評価

白鯨との闘い(2015年製作の映画)
3.5
僕が選ぶ「この邦題が酷い!2016年版」暫定第一位を今のところぶっちぎりで確保してる本作。

読書感想文の為に読んだ人が日本人口の三分の一ぐらいいるんじゃないかのメルヴィル著「白鯨」の元ネタだけに、クリヘム君演じる一等航海士チェイスがスターバック、ベンジャミン・ウォーカー君演じるポラード船長がエイハブの事なんだと思っていたら、ポラード船長さん普通に二本足で立ってた。
そこはまぁ創作ですよねやっぱり。

「白鯨」で描かれる物語はあくまで前半であり、この(多分ほぼ)実話の方は一等航海士が海に沈むことなく、船長がクジラに海中へ引きずり込まれる事もなく、でも大方の流れは「白鯨」の通りになるわけです。
で、後半があるわけで。

冒頭の、ブレンダン・グリーソンさん演じる「捕鯨船エセックス号の生き残りトマス」にメルヴィルが話を聞こうとするも、語りたがらない様子からして「あぁそういう事か」とわかってしまうのですが、構成としてはそれでも見事で、結局どうなったのかは気になるように作られているトコロは流石はロン・ハワード監督だなと。

実話的な辛さとしてはイーサン・ホークさんがアンデス山脈で右往左往する話の方が過酷だし、物語としての衝撃は第85回アカデミー賞ノミネート作品の方が上だし、ネタとしてはこの映画観た後に偶然聞いた「海で遭難した男が、衛星携帯型スマートフォンを持っていた事に気付き、救助の電話をするのかと思ったら、【海水から真水を作る方法】をOK Googleに聞いた」っていうブラックジョークの方が興味深いのですが、反目していた2人の男の結末としては普通にラスト良かったなと。

予告で見てたクジラがとても怖い感じにストーカーしてくるのを、「単にクジラは仲良くしたかっただけなのに勘違いした」なんていうオチじゃないかとビクビクしてましてが、全然違って安心しました。

後はもう僕が選ぶ「この邦題が酷い!2016年版」一位を順当に死守していって貰えたらと思うところです。
Donatello

Donatello