あんなに素晴らしいナサニエル・フィルブリックの原作がなぜこんな事になってしまったのか…
まず、事件の回想・メルヴィルによる取材パートともに脚色がありきたりで面白くない。わざとらしい船員間の対立、バラエティ番組の再現ドラマのような安っぽい感動等々。そしてとある重大な決断を下すまでの葛藤があまりにもあっさりしすぎではないか。後半の見せ場となる部分があれでは拍子抜けだ。取ってつけたようなハッピーエンドに至っては、もう何も言うまい。無難と言うよりは、むしろ毒にも薬にもならないと言うべきロン・ハワードの悪い所が出てしまった作品だと思う。