オレオ

インヒアレント・ヴァイスのオレオのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
2.4
アカデミー賞ノミネート、日本でも多くの劇場で公開され、絶賛の嵐だったのでDVDで見ましたが……。
自分に合わなさ過ぎてビックリした。
劇場で見なくてよかったと心から思う。もしそうしていたら、確実に1000円を睡眠のために溶かしていたに違いない。

ヒッピーでヤク中な私立探偵 を Her でセオドア役を熱演したホアキン・フェニックスが演じる。
毛むくじゃらで常に煙たいあの感じは、なかなか強烈なビジュアルではある。しかもなかなかのハマリ役。

しかし。
登場人物が多いから気を抜くと話についていけない。
時代背景を底にした話題が多く、60年代アメリカについて詳しくないと半分も理解できないまま「?」の状態でどんどん置いてけぼりになる。
コメディ部分も、カラッとした笑いではなく、ブラックユーモアや含み笑いといったニュアンスのもの。
見終わった後は「何だったんだ」と、もはや虚しさとか怒りにも似た気持ちが湧いてくる。

このレビューやこの作品に対して「このカオスな感じがいいんです!」という人もいるかもしれない。
ただ、そういう人を見ると、訳も分からないものを、分からないままにさも尊い物のように有難がっているようで、悪寒すら走る。
(この作品が好きな人、ゴメンナサイ)

ハッキリ言えば、つまらなかったです。
何が面白いか分からない。
ただ、確かに言えるのは、この地球上にはこの映画のことを真に理解できる人が、一定数はいるのだろうということ。
たとえば本国アメリカで絶賛されたのも、この映画の時代背景である60年代アメリカ という設定にドンピシャの人が日本より圧倒的に多いから。
この現象は日本におけるインドカレー店とか、エスニック料理店に喩えると分かりやすい。日本でウケてる外国料理は日本人の好みに合わせて味付けしているから人気なのであって、実際に本場の料理が口に合うかどうかはまた別の話。
つまり本作「インヒアレント・ヴァイス」は本場の雑味やえぐみをそのまま残してあるような状態の作品なのです。日本人受けするコメディ作品のようなマイルドな映画では、決して無い。

精一杯の気持ちを込めてこの作品を擁護するのであれば、確かに雰囲気や世界観は一級品です。音楽、カメラ、作風そのすべてが調和のとれたものとなっている。
ただし、それが 人に合うかどうか は別です。繰り返しになりますが、私には全く合いませんでした。
オレオ

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