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インヒアレント・ヴァイスのすずのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
3.0

1970年カリフォルニア州ゴルディータ•ビーチ。ヒッピーでドーパーな私立探偵ドック(ホアキン•フェニックス)は、忘れじの元カノ シャスタの突然の訪問から、深刻げな彼女の依頼を受けて、不動産王 ミッキー•ウルフマン界隈を嗅ぎ回り始めると、たちまち、きな臭くて血生臭い、アメリカの闇へと足を踏み入れていく羽目に。カリフォルニア自警団、LA市警の腐敗、FBIの目的、そして〝黄金の牙〟とは?

いつもドラッグをキメてめちゃくちゃラリってる、ヒッピー探偵ホアキンが、ひとつひとつ謎の扉を開けていく〝グルーヴィー〟なミステリー作品。映画界の生ける財産、ホアキンの相変わらずの怪演っぷりが黒光る。

インヒアレント•ヴァイス:内在する欠陥、海上保険用語で〝避けられない危機〟

このタイトル自体が物語に内包されたメッセージ性を考察するキーになっているとは思う。そのまま追うだけでも物語は何となく完結に向かうけど、深入りして見れば見るほど、分からなくなるし、難しくなる。

つまらなくはなかったが、面白かったのかもいまいち判断がつかないのは、やはり物語に内在する真意を掴みきれないような気持ち悪さが残るからだろうか。

ヒッピー文化の堕落者であり、大資本や、世の暗部なり、ひいてはアメリカ社会の犠牲者とも取れるコーイという人物像にドックが見出して、託したもの。そして、奇妙に陽光が差し込む顔面をアップに、ラストシーンのドックは果たしてどこへ向かっているのだろうか。劇中で触れた〝ハイウェイの入り口〟なのだろうか、はたまた。

「歩道の敷石の下はビーチ!」

と、かの反体制運動である、パリ 五月革命の壁面の落書きの言葉を引用して。

さて、難解。

飽きずに観られたけど、やはり2時間30分は長かった。しかも、おそらく深堀りすれば更にメッセージが埋まっているような映画だと思うので、楽しいよりも、監督自身が作品に込めた意図を読み取ろうと努めると先ず疲れる笑。まあ、そこが面白味でもあるんだけど。考察サイト行きかな、これは。笑

※LA市警の〝ビッグフット〟ことジョシュ•ブローリンの、チョコバナナ咥えてえずくシーンと、パンケーキ屋で日本語叫ぶシーンはダメ、反則😂🤣笑
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