Donatello

カリフォルニア・ダウンのDonatelloのレビュー・感想・評価

カリフォルニア・ダウン(2015年製作の映画)
2.9
ハリウッド映画の大半は、特にアクション系やディザスター系などともなりますと、大なり小なり特有の御都合主義が存在していて、それを僕らは少なからず冷めた目で見ながらも、見栄えの良いアクションと迫力のある景観などを楽しみつつ、「正義の国アメリカ」を浸透させる為のサブリミナルのような自浄作用なんだろうな、などと考えながら微笑ましく映画鑑賞してると思うんですけどもね。

レディファーストなどは徹底されていないながら災害時などでも律儀に並ぶ日本人には、マナーを大切にしながら暴動も起こるアメリカの矛盾が理解できなかったりする訳で、それを修正する為のハリウッド映画なんだと思うと、それはそれでいいんじゃないかと思うトコロですが、この映画にはそれすら無い。

恐ろしいですよホント。

2人の娘のうち1人を過去の水難事故で亡くしたレスキュー隊員の父親。
未曾有の地震に襲われた地域で、今は1人しかいない娘の命が危ない。
彼女だけは守ってみせる。

理由はわからなくもないんですけどね。

娘がさらわれた!危ない!助けに行かなきゃ!(拳銃バンバン!)助けに来たよ!
…と、これは許せるんですが、仮にもレスキュー隊員という職業の人が、仕事ほっぽらかして、自分の娘だけに注力する利己主義を全面に押し出した展開の映画をよく作ろうと思ったなと。

娘が大事と公言して憚らない、トウモロコシ畑のお父さんなら、「人類の未来より娘」を選ぶのも分かるんですけどね。

『ポセイドン・アドベンチャー』のジーン・ハックマンさん演じる牧師みたいなのが、本来のこういう映画有るべき主人公であってね。

もしくは普段、娘に馬鹿にされてるうだつの上がらないお父さんが、実は昔は冒険野郎で、ありとあらゆるものを駆使して娘を助け出す映画なら僕がアカデミー賞に推薦したいぐらいですけどね。
ちなみにその場合の苗字はマクガイバーでお願いしたいんですけども。

地震などの災害時にどのように行動すればいいかの参考文献は一つでも多い方がいいので、そういう意味では歓迎ですけどね。

そんな訳で想像を超える利己主義をご覧になりたい方は是非。
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