スポック

ジャッジ 裁かれる判事のスポックのレビュー・感想・評価

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)
5.0
どんな家庭にでも不幸で思い通りにいかない出来事と、家族だからこそ味わえる幸福な出来事が複雑に絡み合って歴史を刻む。
家族だから過度に反発し合い、また遠慮なしに甘えあえたりもする。
同じ業種で働き、お互いに固い信念を持った親子同士であってもまったく違う生き様から反発し合い誤解しあう事が多くある。

思うような関係を築けない自分の息子と年端もよく似た被告人の若者とを重ね合わせて公私混同を犯し裁判官として頑なに守ってきた信念を曲げてまで温情をかけた被告人に取り返しがつかないほど裏切られる。
その上に犯人と重ね合わせてしまう反動から息子に対して必要以上に厳しく辛くあたって関係がこじれる人生を送る羽目になってしまう。
血の繋がった家族同士でしか起こり得ない葛藤や愛憎の中でも、家族だからこそ支え合うことができる血の繋がりの固い絆に感動した。
自分自身の固い信念や理性を持ってしても逆らえない老いからくるいろいろな衰えと寄り添い合いながら人生の終盤をどの様に過ごしていけばよいのかもしみじみ考えさせられた。