すっかりジャービスとのお喋りを楽しむセレブ役という印象が板に付きすぎてしまったロバート"スターク"ダウニーJr.さんですが、割と薬物中毒ドップリの頃の作品とか好きでしてね。
『レス・ザン・ゼロ』から『追跡者』ぐらいまでの。
メソッド演技を良いとは思わないけど、なんていうか最近特にスタークとホームズが被ってみえたりするんでね。あの頃が懐かしく思える部分もあったりする訳ですよ。
という中でのこの映画。
メソッド演技ではないけど、力の抜けた感じの、でも入ってる演技が素晴らしくてですね、これはもう僕の中で『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』と並ぶ名演技だと思った訳です並べる作品おかしいですね。
脚本は最高。
配役も全員お見事。
撮り方も秀逸。
本当に素晴らしい映画です。
ポスターなどから迸る単なる法廷劇を暗示させるものとは裏腹に、親子の絆、兄弟愛、父娘愛、昔の恋人との関係、更には故郷に対する想いなど、よくもまぁコレだけのドラマを詰め込んで巧くまとめたましたねと。
間というのは無ければないで趣きがないし、あり過ぎても興醒めしますが、この映画いちいちの間が絶妙でしてね。
ロバート違いのデュバルさん演じる父親との雰囲気なんか台詞なくても色々感じる部分があったりするんですよね。
で、終盤もうね…。
僕は催眠術のような映画が好きなんですよ。
その映画を観たことで、母親の肩を揉み行きたくなるような、兄弟に電話をしたくなるような、うっかり庭にトウモロコシを植えてみたくなるような、そんな映画が大好きなんですよ。
この作品もそんな映画だったんじゃないかと。
だから僕も親父に電話を掛けたんですよ。
結果、二度と電話なんかするもんかと思ったね。
そんなとても良い映画だった気がします。