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天使のはらわた 赤い眩暈のdaiyuukiのネタバレレビュー・内容・結末

天使のはらわた 赤い眩暈(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

土屋名美(桂木麻也子)は22歳の看護婦で、将来は同棲中のカメラマン太田健一と結婚したいと考えていた。ある晩、名美は夜勤で病院にいたが、患者からナース・コールが入り、病室へと急いだ。しかし、そこで二人の患者に犯されそうになる。必死の思いで逃げ出し家に戻ったが、マンションでは健一がモデルの真子と抱き合っていた。名美は悔しさで、家を飛び出していった。証券マンの村木(竹中直人)は客の金に手を出し、首が回らなくなっていた。妻には逃げられ、会社もクビになった村木はやけになって車を走らせていて、名美をはねてしまう。村木は名美を乗せて雨の中を郊外まで走った。村木に体を触られて目を覚ました名美は近くにあった捧で村木の頭をたたいたが、彼はしつこく追いかけてきた。廃校で村木は名美にすがりながら泣いて、名美も抵抗する気力をなくした。お互いの孤独を埋め合うように、二人の間に不思議な感情が生まれ始めていた。村木は名美を残してガソリンを買いに出かけたが、途中でやくざに絡まれ殺されてしまう。名美は明け方「テネシー・ワルツ」を聞きながら泣いていた。
「天使のはらわた」シリーズの原作脚本を手掛けた石井隆が、初監督した作品。
社会から外れてしまった村木と男に裏切られて傷ついた名美が、孤独を埋め合うように惹かれ合い儚い未來を夢見る二人の顛末を描いているのは、今までの「天使のはらわた」シリーズと変わらないけど、村木がグズ過ぎて名美が村木に惹かれていく変化が理解しにくい。
ただ村木と名美が、お互いの孤独を埋め合うように、激しく求め合うラブシーンから、お互いの孤独に共鳴して惹かれ合い孤独を埋め合う心情が伝わってきて、セクシーであると同時に切ない。
廃墟での村木と名美の追いかけっこや村木の悪夢や廃墟のネオン管など、石井隆のトレードマークがちりばめられているのが、石井隆ファンには嬉しい。ラストの顛末は切ないけど、名美のたくましさを感じる切ない後味。
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