こなつ

フランシス・ハのこなつのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
3.8
グレタ・ガーウィグが監督した3作品を観て、女優としての彼女を知りたくて鑑賞。

2014年彼女の現在のパートナーであるノア・バームバックが監督・脚本を務め、グレタも脚本に加わって主役を演じている。
ノア・バームバックは、「マリッジ・ストーリー」で、自身の離婚裁判をモチーフに自分の体験を描いて話題になった。

ブルックリンのアパートで親友と同居生活をしているフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、27歳の見習いダンサー。親友ソフィー(ミッキー・サムナー)は恋人との同棲のため家を出て行き、少し前に恋人と別れたフランシスは行き場がなくなる。プロのダンサーになる夢があるらしいが、必死に練習したり体調管理をしている様子もなく、行き当たりばったりの毎日を過ごしていた。

夢に本気で向き合う覚悟など全くなさそうなフランシス。周りにはその場しのぎの嘘を言ったり、空気も読めない。友人達が落ち着いていくことに焦りを感じているフランシスがとても痛々しい。同じ立場になったら誰だってきっとフランシスみたいに疎外感を味わうのだろう。そんな気持ちを決して友人には悟られたくなくて見栄だって張る。自意識だけが強いだけで大人になり切れない27歳のフランシスをグレタ・ガーウィグが明るく自然体で演じている。

フランシスがやっと自分を見つめ直し、新たな決断をして1歩を踏み出そうとした時、心底ホットした。良かった!それでいいのよ。と胸を撫で下ろす。憧れだけが強くて足が地に着いていない時は、見えていないものが沢山あったのだ。

モノクロだけど、引き込まれる美しい映像。デビット・ボウイの「modern love」が流れる中、疾走するフランシスが印象的。「フランシス・ハ」というタイトルが付いたラストのエピソードが温かい、何てお洒落なタイトルだろう。
若い頃のアダム・ドライバーも出ていて、とても楽しめた。
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