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フランシス・ハのyuriaのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
4.2
バレエダンサーのフランシスは舞台で決して主役になることはなく、私生活ですら居場所がない干され状態。親友には恋人ができ、自分より彼を優先し出す。終いには仕事すら辞めさせられもう青年期のモラトリアム的状況の渦中に。しかしなぜかフランシスにはじめじめとした暗さは感じない。そこがこの映画の魅力である。

フランシスは点々とホームシェアを繰り返し、常に全力疾走でその場を、そして映画を駆け抜ける。転んでも起き上がり、また走り、ときにはくるっと一回転をしながら、とにかく映画をパワフルに駆け抜けていくフランシスの満ち満ちた情熱と、素直さ、そして自身への苛立ちすら表に出さない(もはや内にも抱えていないのではないかという呆気なさ)彼女の人間味が 映画に大きなスペクタクルをもってくる。

とても元気になる、いま自分の隣にいる人を精一杯愛したくなる、そんな映画でした。
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