何度もフランシスをぶん殴りたい衝動に駆られた。27歳とか全然若くねぇよ。現実見ろよ。理想ばっか追ってんじゃねぇよ。
だがしかし僕はこの怒りの正体を理解している。「同族嫌悪」だ。要領が悪かろうが、年食ってようが夢は夢だ。僕だって、今目標としているものを「お前には無理だ」と誰かに言われたところで、きっと諦められない。フランシスみたいに見苦しくしがみつくだろう。当てつけのように「自分、大きなところから声かけられてるんで」なんてことを嘯いてしまうかもしれない。
夢を追っている人の姿なんて、往々にして見苦しいものなんだ。よっぽどの才能がない限り、月9のドラマのような展開は見込めない。才人ならぬ僕のような才悩人に向けて、「それでいいんだ。この女を見てみろよ」と言って寄り添ってくれるのが本作である。
「私よりずっと年上に見えるけど、全然しっかりしてないわね」というセリフにドキッとする人は、多分僕に似てる。お互い頑張ろうな。