トリュフォーのアントワーヌ・ドワネル・シリーズの第二作。白黒シネスコ。「二十歳の恋」のオムニバスとして制作された中編30分。
いつも走っているアントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)が印象的だ。アントワーヌはレコードメーカに勤めている。初恋が募ってコレット(マリー・フランス・ピジェ)のアパートの真向かいに引っ越してしまう。窓から見下ろすアントワーヌ、気づくコレットの一家が驚いて見上げる。トリュフォーらしい高低差だ。そして窓を開けてお互いが向き合う距離感がいい。アントワーヌがコレットより両親に気に入られるのが可笑しい。トリュフォーが描く親たちはどこか希薄だ。
鏡が多用される。野口久光が描いた「大人は判ってくれない」のポスターがアントワーヌの部屋にさりげなく貼られている。