sonozy

小さな逃亡者のsonozyのレビュー・感想・評価

小さな逃亡者(1953年製作の映画)
5.0
トリュフォーやカサヴェテスなど後の映画人に広く影響を与えた、アメリカン・インディペンデントのパイオニアと呼ばれる、写真家集団フォト・リーグに所属するプロカメラマンだった、モーリス・エンゲル&ルース・オーキン夫妻。
エンゲルが独自に作った軽量の35mmカメラで、1950年代のニューヨークの人々の日常を捉えた作品の1作目。
ヴェネツィア国際映画祭: 銀獅子賞
監督/脚本はエンゲル&オーキン夫妻とレイ・アシュレー。撮影はエンゲル。

ブルックリン。7歳のジョーイは兄レニーと母と3人暮らし。
ある日、具合の悪くなった祖母に会いに行くため急遽母が出かけることになり、その日は友達とコニーアイランドに遊びに行く予定にしていたレニーは、ジョーイの世話をしなければならなくなり落ち込む。

なんとかジョーイを家に閉じ込めておけないかと悪知恵を働かせたレニーと友達2人は、ジョーイを広場に連れ出し、空気銃をジョーイに撃たせる。
その弾がレニーに当たった風(実は空砲&ケチャップの血)で倒れるレニー。「レニーが死んだ!殺人で警察に捕まるから家に隠れてろ!」と言われ、慌ててその場を去るジョーイは、一旦家に戻ると、母が置いていったお金を手に家を飛び出し、行き先も分からない列車に飛び乗る。

到着したのはコニーアイランドの駅。流れに乗り、ふらふらと人混みの中へ。
警官の姿を見つけると逮捕されると思い隠れたりしつつ、回転木馬、ボール投げ、バッティング、デカいスイカ、綿菓子、ペプシ..など次第に一人で楽しんでるジョーイ。
ビーチをぶらぶらしていると、瓶を拾い集めている少年に出会い、彼を手伝う。瓶を返すとお金をくれるというデポジットだと知り、彼と別れた後も一人で瓶を集めて小銭を稼ぐようになり、大好きなポニー乗馬を何度も楽しむ。

一方、兄レニーは悪ふざけやり過ぎを反省し家に見当たらないジョーイを探し回るが見つからず。
母からの電話には問題ないと嘘をつく。
やがて、1本の電話がかかる・・

エンゲルの捉えた"Little Fugitive(小さな逃亡者)"となったジョーイの姿。彼(リッチー・アンドラスコ)の自然な演技(というか素のまま?)も素晴らしい。
ポニー乗馬のおっちゃんとの交流、後半〜ラストもいい。
当時のブルックリン&コニーアイランドの記録映像としても貴重で、木製ボードウォークの下にいるジョーイとその隙間からの日差しが差し込むシーンなど、シビれるショットも多数。

これぞマスターピース。
日本でのソフト化or配信熱望してます。

YouTubeにいくつかUPされてます。
https://youtu.be/1L71TrMj0BA
sonozy

sonozy