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アントマンのpeplumのレビュー・感想・評価

アントマン(2015年製作の映画)
4.6
いまや群雄割拠の戦国乱世の様相を見せるMCU。フェイズ2のラストを飾るのは小さくなれるスーツを着たアントマン!戦国の世に遅れてやってきた風雲児は伊達政宗の如く、独眼竜ならぬ極小の蟻なのだ!
英国のオシャレボンクラ映画の貴公子エドガー・ライトが監督交代して一時はどうなることかと思われた今作も蓋を開けてみれば痛快娯楽大作として見事に結実していて一安心!ケイパームービー好きにもオススメである。
その軽妙な音楽と編集はもろエドガー・ライトの美風を継いだようでとても楽しかった(特にルイスから話を聞かされるとこ)。MCUならではのリンクも序盤からラストまで随所に盛り込まれ、出てくる度にこちらとしてはウキウキしてしまった。
MCUフェイズ1はヒーローの誕生とその似姿たる敵を倒すことを主題としており、フェイズ2ではヒーローとしての懊悩に踏み込んでいく。ここではフェイズごとの話は置いておくが、アントマンは見事なヒーローの誕生を描き、なおかつ他のシリーズには真似出来ない父娘の愛情なんかも盛り込んできてうっかり泣いてしまった。アイアンマンは大企業の御曹司で兵器開発のスペシャリスト、キャプテンアメリカは超人血清によって力を得た善人、ソーは雷神、ハルクは怒れる科学者とそれぞれアイデンティティがしっかりしているが、アントマンになるスコット・ラングはそこが曖昧なまま(強いていえば父親というのが大きいか)ヒーローになるのが素敵。
主演のポール・ラングのにこやかさはスコットらしく見え、マイケル・ペーニャがめちゃくちゃいい味だしてる!!これ、エドガー・ライト作品ならニック・フロストの枠だよなーって感じ。
吹替もスコットに木内秀信さんでちゃんと抑え、エヴァンジェン・リリーの内田有紀さんもわりかしハマってた。なんといっても驚かされたのはブラマヨ小杉さんのマイケル・ペーニャ!!!今までみた芸能人吹替で一、二を争うハマり方してた!大川透さんも渋くていいね!あとあと今まで散々下手くそだと思ってたあのキャラの吹替がマシになってて感動した。
映像面では伸縮自在で縦横無尽なアントマンの特性を生かしたケレン味たっぷりのスペタクル!原子間の距離を変えるスーツだが、量子の世界に広がる極小の大宇宙はもはや哲学的で素敵。ぜひ3Dで見てほしい。トーマスのくだりとかちょいちょい笑かしにきてて楽しい。
監督交代をよく切り抜けて作品を作り上げるMCUの地力を見せつけられた…ペイトン・リード監督ありがとう。
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