とある男の証言による回想というカタチで、いったいラボで何が起こったのかという真相が明らかにされていく。その男は何かから逃れてきたと想われ、軍によって身柄を拘束されたことから、事態を如何に快方に向かわせるのかといった考えが先行する。
しかし話が進むにつれ明らかになっていくのは、快方に向かうどころか証言内容それ自体はもうすでに起きてしまった事であり、今さら干渉することができない不変の事実であるとして、最悪の事態が今現在聴取している場に近づいてきていることだった。
この現状どう動かすこともできない過去を定めることで、現在という取調室内に緊急事態を直結させる緊迫感はうまい。種の保存という本能として避けられない、定められたものが際立ってくる。