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ブロークン・アイデンティティのtheocatsのレビュー・感想・評価

2.7
ネタバレ
個人的善意が集団的悪意に翻弄されるお話

シナリオに破たんした点は見いだせず、緊迫感もあり見応えもあったと言える。

とはいえあれでは私怨を自身の利益に利用しようとする巨大悪徳企業の思うつぼ。
善意の人助けを間抜けなピエロに仕立てた、見方を変えれば巨悪礼賛の映画のようにも思えてくる。

理由はどうであれ3人娘を殺され、その犯人を殺したいというのは残された身内の正直な気持ちかもしれないが、だからといって私刑リンチで殺害し、その後臓器移植の人体実験検体とし、それを合計3度繰り返すというのは順法とは言えないだろう。
しかもその3度目は善意の医師をだまくらかしての故意の誤射だしね・・・

テンポもよく未来感覚の演出も悪くなかったけれど、もしかしたら密売臓器カルテル出資のカモフラージュ映画なのかもと勘ぐってみたりしてね。笑
加えて死刑制度容認の意図も込められていたりして。
※死刑反対のデモが挟まれていたがそれは大いなる皮肉なのかもしれない。

映画のように自身の臓器クローン培養・移植なら順法かつ不適合問題もないかもしれないが、クローンであるがゆえに疾患のDNAも引き継いでいるだろうから、そう単純に考えるほど上手くいくとも思えない。あくまで素人考えだけれど。
何れにしろ臓器移植関連は法に従っていても巨額の金が動くどうにもきな臭い世界であることには変わりない。

映画の舞台はアルゼンチンあたりかなと思っていたがメキシコだったんだね!

2.7の三ツ星
002012
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