くりふ

デリーに行こう!のくりふのレビュー・感想・評価

デリーに行こう!(2011年製作の映画)
3.5
【アジメールの夜空に】

IFFJ自主配給第一弾、『デュー・デート』のボリウッド版翻案。

歌って踊る狂騒コメディかと思えば意外や…小粒ながらもちょちヒューマン。油断し最後に泣かされた(笑)。

上しか見ぬ女王様CEOと下町お下劣オヤジが出会い珍道中、ムンバイからデリーまで。で、欧米脳だった女が「インドに還る」までを描くお笑いロードムービー。

はじめ歌わぬ踊らぬテンション低!な展開に澱んだものの、これが女王様CEOの都市型時間刻みから、悠久なるインドのゆるさへの移行なのか…(笑)、と馴染んだところで嵌ってしまった。

アジメールの荒野に放り出され、しかし見上げた夜空に初めて見せる女王の笑顔。翌朝広がる絶景この開放感…しょぼいのにめちゃウマにしか見えぬあの朝食!…の辺りで…劇場でみてよかった!と確信しました(笑)。

まあベタですけどね展開は。で、最後までどこか寸止め感を抱えたまま終わってしまう。でも、やっぱり主役の二人がいいんですよ。

特にラーラー・ダッターさんが巧くて、女王キャラなのに最後まで共感しまくりでした。彼女、だんだん可愛らしくなりますね。さすが元ミス・ユニバースの美しさで、彼女にただ見惚れるだけでもおつりが来ます。

『闇の帝王DON』の役は殆ど覚えていませんが、こんな美女だったのかと驚愕。…常に豊かな胸元も素晴らしい!(笑) 製作も兼ねているんですね。さすが自分の見せ方をわかっています。

油がイヤ、とナンをナプキンで拭くインド女って初めて見ましたが(笑)、ホンダ車の後でPCに没頭していたのが、ラクダ車で空を見上げてゴロゴロと砂漠横断…となってしまうこのギャップがね、やっぱり面白い。インドはやっぱり広い、と改めて気づかされます。

マサラなボリウッドを期待するとハズレですが、ボリウッド版ミニシアター系?(笑) とでも言っていいような、こんな小品もどんどん公開して欲しいですね。

本作は『デュー・デート』より、ひとへの視線があたたかい感じがしました。より心に残るのは、私はこちらです。

あと、ある殿方向け艶やかシーンに絡み、最近は「踊り子専門女優」が増えていると知りました。ボリウッドは裾野が広がっているんですね。ぜひ、「アイテム・ガール」を集めたボリウッド版ザッツ・エンタテインメントをつくってほしいものだ、と思いました。

<2014.2.24記>
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